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SAOアリシゼーション編のネタバレ!結末でユージオ死亡ってマジ?

SAO アリシゼーション(人界編)

この記事では原作小説を元にアニメ「ソードアート・オンライン」のアリシゼーション(人界編)についてまとめています。
 
ネタバレが多く含まれているので、ネタバレNGな方はご注意ください。

ノマ

今回は「ソードアート・オンライン(以下、SAO)」のアリシゼーション編について紹介するよ。

ノラ

アニメ見てるけど、4クールやるんだよな?

ノマ

そうだよ。原作小説の9~18巻までの内容を一気に放送するみたい。

ノラ

1年間SAOとか気合入ってるなw
追記(訂正)
分割4クールでした。
 
後半の第3クールは2019年10月放送開始です。
 
アニメ24話以降のネタバレはこちら⇒ SAOアリシゼーション(アンダーワールド大戦編)のネタバレまとめ
 

ノマ

ちなみにアリシゼーション編は「人界編」「アンダーワールド大戦編」に分かれてるんだけど、今回は「人界編」だけを紹介するね。
 
といっても、小説だと6冊分(9~14巻)あるけどw

ノラ

6冊分って長いな。

ノマ

大丈夫。そんなに細かく説明しないから。
 
でも途中で原作とアニメの違いがあったり、アニメでは説明されてなかった部分は「コラム」で補足するよ。
 
じゃあここから「SAOアリシゼーション(人界編)」を紹介していくね。※ネタバレ注意

【追記】文字数が多くなってきたので、アニメで説明されなかった部分は別記事でまとめました。

【SAO】アリシゼーション編をもっと知りたい方はこちら

9巻:アリシゼーション・ビギニング

人界暦372年7月

そこは『ルーリッドの村』と呼ばれる、この世界の北の果てにある村。
 
キリトは天職として与えられた『巨樹の刻み手』として働いていた。
 
ある日、幼なじみのユージオとアリスの3人で『北の峠』の洞窟へ氷を探す冒険に出ることに。
 

ノラ

最初アニメを見たときは「?」ってなったな。

ノマ

確かに原作読んでない人は混乱しただろうねw
 
『果ての山脈』近くの洞窟ですぐに氷は見つかるが、洞窟を守っていたはずの『白竜』の骨を見つけて奥まで入る三人。
 
すると、帰り道に迷ってしまい間違って【ダーク・テリトリー】側へと出てしまう。そこで見たものは、上空で飛竜に乗って戦う『整合騎士』と『黒騎士』だった。
 
そして、敗れた『黒騎士』の方へ1歩踏み出したアリスは(侵入禁止という)禁忌目録を破ってしまう。
 
 
すぐに村へと逃げ帰る三人。
 
だが翌日、村に現れた『整合騎士』によって禁忌を犯したアリスは連行されてしまう。

ノラ

ここでキリトの目が覚めて現実世界に戻るんだよな。

ノマ

うん。でもキリトはアリシゼーションでの記憶を失ってるんだよね。

ジョニー・ブラック

 
西暦2026年6月
 
【死銃事件】から半年。現実世界でエギルが経営する店に集まった三人(キリト、アスナ、シノン)は、キリトのバイトの話で盛り上がっていた。
 
そのバイトは次世代型フルダイブ・システムのテストプレイヤーで、開発会社の名前は『RATH(ラース)』という。
 
キリトによると、機密保持のためダイブ中の記憶は現実世界に持ち帰れないらしいが、最初にダイブした時、そこが仮想世界とは解らなかったらしい。
 
 
 
しばらく話をした後、エギルの店を出る三人。
 
その帰り道、キリトとアスナの前に【死銃事件】の逃亡犯『ジョニー・ブラック(金本敦)』が現れる。
 
その手にはデス・ガンが握られていて、キリトは傘で対抗するも毒を打たれてしまう。

ノラ

アニメ見たときは「ないよ!剣ないよ!」で笑ったなw

ノマ

真面目なシーンなのにジョニーが面白すぎたねw

ユージオとの出会い

人界暦378年3月
 
キリトが目覚めると、そこは見知らぬ森の中だった。
 
「ここは・・・どこだ?」
 
エギルの店を出てからの記憶があいまいで、自分の置かれている状況が分からないまま歩いていると、樵(きこり)の少年・ユージオと出会う。

ユージオと話をしている内にこの世界が仮想世界だと分かり、キリトはもっとよく知るためにも央都を目指そうとする。
 
しかし、旅に必要な資金や(仮想世界の)基本的な知識がない。
 
ユージオに案内してもらおうと考えたが、彼は『ギガスシダー』という大木を倒さなければならない使命(天職)があり、このままだと一生終わりそうになかった。
 
そこで話の中に出てきた神器・青薔薇(あおばら)の剣を借りて使ってみたが、レベルが足りなくて扱えなかった。

ギガスシダーを切り倒して央都へ

ある日、キリトが泊まっていた教会のシスターでアリスの妹・セルカが姿を消してしまう。
 

ノラ

いなくなったのはキリトが原因だよな。

ノマ

うん。アリスが整合騎士に連れて行かれた理由を知らなかったセルカは、キリトから「果ての山脈を抜けてダークテリトリーに入ったから」って聞いて洞窟まで行ったんだ。
 
セルカが果ての山脈に行ったことに気付いたキリトとユージオは、急いで後を追うと、セルカはゴブリンの集団に連れ去られるところだった。
 

ノラ

ゴブリンスレイヤーといい、転スラといい、ゴブリンがよく出るなw
 
苦戦しながらもゴブリンの集団を追い返したキリトたち。
 
すると、二人はレベルが上がって青薔薇の剣を使えるようになり、ついに『ギガスシダー』を斬り倒す。

そして、キリトは現実世界に連絡するための手段がある場所、央都セントリアの公理教会『セントラル・カセドラル』を目指すため、アリスを捜すユージオと共にルーリッドから旅立った。
 

ノマ

ここまでが小説9巻の内容だね。

ノラ

アニメだと第4話までの内容だな。

ノマ

ちなみに小説では、ユージオが剣士になるって言ったときにジンク親子から抗議があって、ジンクと試合をすることになるんだ。

ノラ

ジンクって、第2話に出てきた第一村人か。

ノマ

そうそう。小説ではルーリッド村に入るときには登場しなかったんだ。
 
で、ユージオが試合でソードスキル「スラント」でジンクの剣を粉砕して勝利するんだ。

ノラ

やっぱり噛ませ犬だったかw

10巻:アリシゼーション・ランニング

西暦2026年7月
 
キリトが病院に搬送されて2日。奇跡的に命は助かったが、精密検査と高度治療のために転院してから行方不明になっていた。
 
記録上は自宅近くの病院に転院したことになっていたが、キリトへの面会や映像での確認ができない。
 
怪しいと感じたアスナたちは、調査の末にキリトがバイトしていた『ラース』が関係していると考え、ついに居場所を突き止めた。
 
 
それからアスナはキリトを拉致したのが菊岡誠二郎だとわかると、茅場晶彦の元恋人で計画の重要人物でもある神代凛子(こうじろりんこ)と共に『ラース』に乗り込んだ。

帝国修剣学院に入学

人界暦380年3月
 
キリトとユージオが『ルーリッドの村』を出て2年。
 
央都セントリアへとたどり着いた二人は、『北セントリア帝立修剣学院』へ入学。
 
1年間、初等錬士として上級修剣士の傍付きを務めながら剣の修行に励んでいた。
 
 
 
ある日、サードレという職人を訪ねたキリトは、預けていたギガスシダーの枝から作られた黒い剣を受け取り、学園の敷地内にある森で試し振りをしていた。
 
二連撃技「バーチカル・アーク」
三連撃技「サベージ・フルクラム」
四連撃技「バーチカル・スクエア」
 
次々と上位ソードスキルの発動に成功したキリトは、調子に乗って青薔薇の剣でも発動できなかった五連撃技を試してみるが、レベルが足りなかったせいか派手に失敗。
 
しかも、近くにいた修剣士主席、ウォロ・リーバンテインの服に泥を飛ばしてしまい、その罰として実剣での立ち合い(試合形式の修練)をすることに…。

ノラ

あいつ(ウォロ)絶対当たりに行ったよな?

ノマ

当たりには行ってないと思うけど…でも避けるか払い落とすぐらいはできただろうね。

ノラ

難癖付けてるように見えてキリトと戦いたかっただけか。

コラム:整合騎士になるまでの道のり

ノラ

ところで、キリトたちは村を出てから2年間は何してたんだ?

ノマ

『ザッカリアの街』で農場に住み込みで働きながら剣の修行をしたり、剣術大会で優勝して衛兵隊に入隊したりしてたよ。

ノラ

最初から央都に行かなかったのは剣の修行をするためか。

ノマ

そうじゃないんだ。アリスがいるはずの公理教会セントラル・カセドラルに入れるのは、毎年開催される『四帝国統一大会』を優勝して整合騎士の資格を得た者だけなんだ。

ノラ

へぇ~そんな事情があったんだな。

ノマ

それだけじゃないよ。その大会に出場できるのは、『帝国剣武大会』で勝ち抜いた人間…。
 
しかも『帝国剣武大会』に出場するには、帝立修剣学院の『卒業検定試合』で学院代表(上位2名)になる必要があるんだ。
 
つまり…
整合騎士になるまでの道のり
帝立修剣学院に入学する。
→上級修剣士になる。
→『卒業検定試合』で他の上級修剣士を倒して学院代表になる。
→『帝国剣武大会』で近衛兵や騎士団員を相手に勝ち残る。
→『四帝国統一大会』で優勝する。
→整合騎士になる。

ノマ

…ていう流れだね。
 
だから二人はザッカリア剣術大会で勝ち残り、衛兵隊で活躍して修剣学院受験の推薦状をもらう必要があったんだよ。

ノラ

整合騎士になるだけでも面倒だな。

キリト VS ウォロ

場所は修剣学院・大修練場。
 
観衆が見物する中、キリトとウォロの立ち合いが始まった。
 
ウォロは開始早々から秘奥義の構えを取り、それを見たキリトは四連撃「バーチカル・スクエア」で対抗。
 
2人の力は互角に思えたが、ウォロが背負うリーバンテイン家の祖先の戦士たちの【イメージ力】が強い剣圧となってキリトを襲う。

あと少し後退したらソードスキルが強制終了になろうとしたその時、キリトはアンダーワールドで出会った人々、そして現実世界で帰りを待っていてくれるであろうアスナ達のことを思い出す。
 
 
「俺だって…ここで、負けられないんだ!」
 
 
その瞬間、漆黒の刀身が伸びたかと思うと、二本の剣の交差点に凝縮されたエネルギーが弾け、後方へ吹き飛ぶ二人。
 
だが、キリトは前傾姿勢を保ったまま踏ん張り、ウォロに斬りかかった。
 
斬撃はウォロの胸元をかすめて床板の寸前で止まり、二人は再び戦闘態勢に入るが…
 
 
「そこまで!!」
 
 
それを阻止したのは、初等練士寮寮監のアズリカだった。
 
アズリカは7年前の四帝国統一大会におけるノーランガルス北帝国第一代表剣士で、「あの方の裁定ならば、従わぬわけにはいくまい」とウォロは立ち合いを止め、キリトの懲罰は終了した。

ノラ

アズリカが止めなかったら、結果はどうなってたんだろうな?

ノマ

キリトが剣の力を引き出せてたから、キリトが勝ってた…と思いたいね。
 
ちなみに懲罰による立ち合いだけど、降参(リザイン)できたみたいだね。

ノラ

マジか。立会人になったリーナ先輩はなんで教えなかったんだ?

ノマ

さぁ? でも小説ではリーナ先輩は立会人になってなかったからね。

ノラ

へぇ~じゃあ審判なしでやったのか?

ノマ

うん。審判なしの立ち合いだったよ。
 
降参できるってことも、立ち合い後にリーナ先輩から「斬られたと思ったぞ。…なのに降参しないとは…この大馬鹿者め」って言われて、初めて降参できることを知ったんだ。

ノラ

まぁ降参してもウォロが認めなかった可能性もあるけどな。

シンイの力

ウォロとの立ち合いが行われた夜。
 
キリトは自分が育てている花の水やりのために花壇へ向かう途中、上級貴族出身のライオスとウンベールに会う。
 
「この二人がなぜ花壇に…」と嫌な予感がしたキリト。
 
その直後、二人が自分の育てていたゼフィリアの苗を荒らしたことを知る。

異国の土で懸命に咲こうとしていた花たち。
 
その花に自分自身を重ねていたキリトは涙を流すが、その時、どこからともなく“声”が聞こえてくる。
 
 
「―信じなさい。異国の土でここまで育った花たちの力を。そして、その花をここまで育てた、あなた自身の力を」
 
 
“声”の導くまま、キリトは花壇に咲く聖花から放たれる生命力をプランターに残るゼフィリアの根に流し込むと、ゼフィリアの苗たちは見事に復活したのだった。

コラム:謎の声の正体は?

ノラ

キリトを励ました謎の声は誰だったんだ?

ノマ

あれはシャーロットだよ。

ノラ

シャーロット?

ノマ

小指の先ほどもない、とても小さな蜘蛛なんだけど、その正体はカーディナルの監視用ユニット(使い魔)だよ。

ノラ

…そのカーディナルは何者で、なんでキリトを監視してたんだ?

ノマ

カーディナルは公理教会の最高司祭であるアドミニストレータの双子の妹みたいな存在だよ。詳しくは後でね。
 
ちなみにアドミニストレータは、アニメの第2話でちょっとだけ出たよ。

ノラ

あーそんな奴いたな。あれが最高司祭か。
 
で、その妹がなんでキリトを監視してたんだ?

ノマ

簡単に説明すると、カーディナルはこの世界からアドミニストレータを消し去ろうとしてるんだ。
 
それでシャーロットみたいな監視用ユニットを全世界に張り巡らせて、共に戦ってくれる協力者を探してたみたい。
 
ちなみにシャーロットは、キリトとユージオがルーリッド村を出た時から、ずーっとキリトの前髪やポケットに隠れて二人の行動を見てたんだよ。

ノラ

じゃあ2年も一緒にいたのか。

ノマ

そうだね。監視以外にもザッカリア剣術大会で二人が同じブロックで当たらないように手助けしたりしてね。

ノラ

すげぇ良い奴だな。

11巻:アリシゼーション・ターニング

修剣学院に入学して1年後、上級修剣士になったキリトとユージオ。
 
二人には傍付き練士(身の周りの世話役)のロニエティーゼが付き、キリトたちは充実した生活を送っていた。
 
しかし、ある日事件が起きる。
 
ロニエとティーゼが、ライオスとウンベールの下劣な罠にはめられてしまったのだ。

「これは帝国基本法及び禁忌目録に則った正当厳粛な貴族の裁決である」
 
【禁忌目録】を盾に自分を正当化するライオス。
 
現場に居合わせたユージオは【法に背けない】というアンダーワールド人の絶対領域を突破し、剣を抜いた。
 
ユージオの一撃はウンベールの左腕を斬り飛ばし、さらに駆け付けたキリトもライオスと剣を交えて両腕を切断。(後に死亡)


 
翌朝、【禁忌目録】を犯したキリトたちは整合騎士に連行されることになるが、そこで待っていたのは…
 
 
「セントリア地域統括公理教会整合騎士、アリス・シンセシス・サーティです」

セントラル・カセドラルへ

聞き間違えるはずのない声の方へ、ユージオは戸惑いながら近づく。
 
 
「…アリス…? 君なのか…?」
 
 
しかし、アリスの肩に触れようとした瞬間、容赦ない一撃を浴びせられる。
 
別人のような振る舞いにショックを受けるユージオだったが、
 
 
「セントラル・カセドラルに入りさえすれば(アリスが変わった)事情がわかるはずだ」
 
 
とキリトに言われ、大人しく連行されることに。
 
途中、ロニエとティーゼと話した後、キリトたちはかつてのアリスと同じ方法でセントラル・カセドラルへ連行された。

エルドリエ・シンセシス・サーティワン

セントラル・カセドラルの地下牢に入れられたキリトたち。
 
そこは武器も神聖術も使えない場所だったが、自分たちを拘束する鎖をうまく利用して脱獄に成功した。
 
 
カセドラルの裏手側に出た二人は、カセドラル内部に侵入するために入り口を探す。
 
その途中、アリスの指示で待ち伏せしていた整合騎士のエルドリエ・シンセシス・サーティワンと交戦する。

キリトたちは息のあったコンビネーションで相手を追い詰めるが、エルドリエが神器・霜鱗鞭(そうりんべん)の力を解放し、戦いはこう着状態になる。
 
そのとき、ユージオの口から意外な事実が語られる。
 
 
「僕、最初から どこかで聞いた名前だと思ってたんだ。さっき、ようやく思い出した」
 
「この人はね、今年のノーランガルス北帝国第一代表剣士。そして、四帝国統一大会の優勝者、エルドリエ・ウールスブルーグだよ!」
 
 
わずかに残っていた過去の記憶と、母・アルメラの名前を聞いて混乱するエルドリエ。
 
そのとき、エルドリエの額から水晶のように透明な三角柱が浮き上がってくる。
 
 
これはアリスの記憶を戻すためのヒントになるかもしれない―。
 
そう考えたキリトだったが、他の整合騎士が駆け付けてきた為、やむなく逃げることに。
 
 
その途中、「こっちじゃ!」という幼い少女の声に導かれ、キリトたちは少女のいる扉の奥へと飛び込んだ。

コラム:キリトが薔薇を見て驚いた理由

ノラ

もう少しで整合騎士のカラクリがわかりそうだったのに惜しかったな。
 
ところで、アニメ11話でエルドリエと戦う前にキリトがバラを見てビックリしてたけど、あの世界ではそんなに珍しいのか?

ノマ

アンダーワールドでは、バラは『神々の花』と呼ばれてるんだ。
 
高純度の神聖力を蓄えた実をつける『四大聖花』と呼ばれる花(アネモネ、マリーゴールド、ダリア、カトレア)もあるけど、バラはその上位に位置するんだよ。
 
貴族(皇族)でさえも栽培は禁止されてるから、市場ではとんでもない値段が付くんだって。

ノラ

なるほどな。そんな激レア植物があれだけ咲いてたら驚くわな。

カーディナル

扉の先は、広く深い空間だった。
 
「ついて来い」という少女に従うと、現実世界のビル10階建て相当の『超巨大図書室』に案内される。
 
 
「わしの名は『カーディナル』。かつては世界の調整者であり、今はこの大図書室のただひとりの司書じゃ」


 
その名前を聞いて、キリトはカーディナルの正体が仮想世界を制御するための自律型プログラム【カーディナル・システム】だと察する。
 
カーディナルは適当な理由でユージオを遠ざけると、キリトにアンダーワールドの歴史を語り出した。

・この世界に(ステイシア等の)神はいないこと。
・アンダーワールドを作ったのがラースであること。
・450年前にラースのスタッフ4人(原初の四人)が、最初の人工フラクトライトの赤ん坊を育てたこと。
・【原初の四人】のうち、一人だけ“善ならざる者”が存在し、利己的な欲望を伝えたこと。
・その結果、人界を支配する貴族や皇族が生み出してしまったこと。

ノラ

つまり、最初にユージオたちの先祖に色々教えたラースのスタッフの中に“悪”がいた。
 
で、そいつが支配欲とか余計なことを吹きこんだせいで、ライオスやウンベールのような貴族が生まれたってことか。

ノマ

そういうことだね。残念ながら そのスタッフの名前は分からないらしいけど。
 
【原初の四人】のログアウトから数十年後、クィネラという女の子が誕生した。
 
クィネラはあらゆる分野に天賦の才を発揮し、ついには神聖術(システム・コマンド)の解析を始めた。
 
そして獣を殺すことで神聖術行使権限が上昇することに気付いた彼女は、レベルを上げて天命回復や天候予測といった奇跡にも等しい術を操れるようになる。
 
その結果、人々は彼女を“ステイシア神に祝福された巫女”と信じた。
 
 
その後、クィネラは「公理教会」と名乗り、【禁忌目録】を作ってあらゆる人間を支配していったが、寿命には逆らえなかった。
 
しかし、彼女の寿命が尽きようとした時、全コマンドリストを閲覧できる“禁断の呪文”にたどり着く。
 
その末尾には、カーディナル・システムの全権限を奪い、“真の神”となるためのコマンドが記されていた…。
 

ノマ

ここまでが11巻の内容だよ。

12巻:アリシゼーション・ライジング

カーディナル・システムのみが持つ権限を得たクィネラは、天命を操り、永遠の若さを手に入れた。
 
それでも満足できなかったクィネラは、自分と同等の権限を持つ存在を許せず、カーディナル・システムを己に取り込もうと考えた。
 
しかし、権限レベルだけを奪うつもりが、カーディナルと自らの魂を融合させてしまった。
 
その結果、カーディナル・システムに与えられた基本命令(秩序維持)を魂に焼き付けてしまう。

ノラ

なんか意味が分かんなくなってきたな。

ノマ

まぁこの辺は難しいから流し読みでいいよ。
 
魂に命令を書きこまれたクィネラは、名前を「アドミニストレータ」と変え、己が支配する人界を今のまま永遠に保とうとする。

クィネラが「アドミニストレータ」となって70年後、記憶を保持するための容量が限界に達する。
 
そこでアドミニストレータは、公理教会の修道女見習いとして神聖術を学んでいた少女を呼び出し、自分の記憶をコピーしようとした。
 
だが、それは彼女にとって大きな失敗だった。
 
 
魂と記憶の統合する儀式【シンセサイズの秘儀】によって少女に乗り移り、それまでの自分を処分する一瞬だけ、同等の権限を持つ存在が2人存在することになる。
 
そこで「メインプロセスの過ちを正せ」という、サブプロセスに与えられた使命を実行するカーディナルが誕生した。
 
こうして、アドミニストレータ(メインプロセス)とカーディナル(サブプロセス)の戦いが始まった。
 

ノラ

ん~やっぱ難しいなぁ

ノマ

簡単にまとめると、カーディナル・システムには「メインプロセス」と「サブプロセス」っていう2つのプログラムがあるんだよ。
 
メインプロセスっていうのは、アドミニストレータの事だね。

ノラ

ふむふむ。

ノマ

で、キリトと話しているカーディナルは、アドミニストレータの“多重人格”みたいなもんで、元々は意識のなかった存在(サブプロセス)だったんだ。
 
だけど、アドミニストレータの行きすぎた行為が原因となって人格が現れ、少女に記憶の上書き(シンセサイズの秘儀)をしたときに肉体を得たってわけ。

ノラ

・・・

ノマ

そして、カーディナル(サブプロセス)は“メインプロセスの過ちを正せ”っていう命令を実行するため、アドミニストレータを消去しようとしたんだ。

アドミニストレータ VS カーディナル

セントラル・カセドラルの最上階を舞台に二人の死闘は繰り広げられた。
 
先制攻撃を浴びせたカーディナル優勢のまま戦いは終盤を迎え、最悪でも相討ちには持ち込めるはずだった。


 
しかし、アドミニストレータは最後の最後で、自分とカーディナルとの決定的な違いに気付く。
 
その結果、カーディナルは敗北し、大図書室に逃げたのだった。

ノラ

カーディナルはアドミニストレータのコピーだからシステム権限や使える神聖術は同じなんだろ? 違いなんてあるか?

ノマ

身長だよ。

ノラ

身長?

ノマ

それまでアドミニストレータ(クィネラ)として中に入っていたカーディナルは、少女の体での距離感に慣れてなかったんだよ。
 
だから体格差に気付いたアドミニストレータは、カセドラル最上階を神聖術が使えなくなるようにして、近接戦闘に切り替えたんだ。
 
ちなみに二人の体格差は50センチはあったみたいだよ。

ノラ

なるほどな。それでカーディナルは負けたのか。

支配者と調停者

カーディナルは図書室に逃げ込んだ後のことをキリトに語る。

・アドミニストレータとの戦いが長期戦になることを覚悟し、自らの記憶を97%消去したこと。
 
・アドミニストレータが忠実な護衛(整合騎士)で守りを固めたこと。
 
・31人いる整合騎士の半分は禁忌を犯して連行された者。あとの半分は『四帝国統一大会』に優勝した剣士であること。
 
・エルドリエの額から出てきた水晶のようなものが、「敬神(パイエティ)モジュール」というオブジェクトであること。
 
・最古の整合騎士が、ユージオが憧れていた伝説の剣士「ベルクーリ」であること。
 
・協力者を探すために感覚共有の術を施し、人界に監視ユニットを放ったこと。
 
・ユージオとキリトが『ルーリッドの村』を出たときから使い魔(シャーロット)を通して監視していたこと。
 
・キリトが唯一、アドミニストレータに対抗できる人間であること。

ノラ

なんで対抗できるのはキリトだけなんだ? 強さだけで言えばユージオも結構強いだろ?

ノマ

フラクトライト(魂)に直接アクセスするような神聖術…例えば【シンセサイズの秘儀】は3日は時間が必要なんだ。
 
だけど、ただ単に魂(記憶)を飛ばすだけだったら、整合騎士たちと戦っている間にも詠唱を完了させることができるんだって。

ノラ

魂を引き裂かれたら どんなに強い剣士でも戦えないか。

ノマ

でも、キリトは現実世界からSTLを使って魂を移動させてるから、さすがのアドミニストレータでも手が出せないってわけ。
補足
STL(ソウルトランスレーター):フラクトライト(魂)を読み取り、情報を与えることで仮想世界にダイブすることができる機器。

ノラ

なるほどな。その条件だと、確かにキリトしか戦えないな。

カーディナルの計画

カーディナルの話もいよいよ佳境を迎える。
 
遠くない未来、負荷実験の最終フェーズ(ダークテリトリーからの侵略)が訪れるというのだ。
 
闇の軍隊は人界人の半分ほどの人数だが、暗黒術の使い手が多く、個々の戦闘能力でも人間を遥かに上回るという。
 
一方、人界側は整合騎士とアドミニストレータしか戦える者がいないため、攻められたら勝ち目がないと話すカーディナル。
 

ノラ

…てことは、キリトたちがアドミニストレータを倒しても意味なくね?

ノマ

そうなんだ。カーディナルも誤作動してるメインプロセス(アドミニストレータ)を消去する目的が果たせれば、それでいいと思ってるみたい。
 
仮にアドミニストレータを倒して全権限を回復後、闇の軍隊を全滅できる術を編み出したとしても使わないって言うんだ。

ノラ

なんで?

ノマ

カーディナル曰く、「彼らとて望んで怪物になったわけではないから」らしいよ。

ノラ

まぁそうだろうけどよ…

ノマ

そこでカーディナルが出した結論が、全権限を取り戻した後、人界もダークテリトリーも全てを無に還すことだったんだ。

ノラ

無に還すって?

ノマ

アンダーワールドに存在する全てのフラクトライト(魂)を削除するってことさ。

ノラ

それって、苦しんで死ぬよりかは何も感じずに一瞬で消える方がマシってことか?

ノマ

まあそういうことだろうね。

カーディナルの計画を聞き、キリトは「全部は割り切れない」と答える。
 
負荷実験の悲劇をどうにか回避し、アンダーワールドが平和に存続できる解決法がないか、何か手段を考える…と。
 
それを聞いて苦笑するカーディナル。
 
 
「おぬしにも…いつかは諦めることの苦さを知る時が来る…」
 
 
そう言って、ユージオの元へキリトを案内するのだった。

【シンセサイズの秘儀】を解除する方法

ユージオと合流し、キリトはカーディナルがかつての最高司祭で、アドミニストレータを倒して最高司祭に復帰するという目的のため、共闘体制を組むことになったと説明。
 
かつての最高司祭と知り、ユージオはアリスを元に戻す方法を聞くと【シンセサイズの秘儀】を解除する方法を教わる。
 
 
彼ら(整合騎士)を元に戻すためには、魂に挿入された「敬神モジュール」を除去し、アドミニストレータに奪われた“記憶の欠片”を取り戻さなければならないという。
 
そして記憶の欠片は、カセドラル最上階に保管してあるらしい。
 

ノラ

つまり、整合騎士を元に戻すためには記憶の欠片が必要。
 
だけど、それを手に入れるためには騎士たちの守りを突破して、アドミニストレータがいる最上階まで行く必要があるってことか。

ノマ

そういうことだね。

ノラ

まぁカーディナルが一緒なら大丈夫だろ。

ノマ

それが、カーディナルは一緒に行けないんだよ。

ノラ

なんで?

ノマ

カーディナルが大図書室を出たら、アドミニストレータがそれを感知して、最高司祭と全整合騎士を同時に相手にしないといけなくなるからだって。

ノラ

じゃあ結局、キリトとユージオだけで戦うしかないのか。
 
 
一通り説明を終えたカーディナルは、切り札となる「小さな短剣」をキリトたちに渡す。


 
さらにエルドリエが使った「武装完全支配術」の術式を伝えると、まずは武器を取り戻すべく、二人を武器庫の近くに転送させた。
 

ノラ

カーディナルが渡した「小さな短剣」にはどんな力があるんだ?

ノマ

短剣自体に威力はないけど、刺された人はカーディナルの神聖術が必中するんだ。

ノラ

へぇ~それって誰に使うんだ?

ノマ

キリトはアドミニストレータに、ユージオはアリスに使うようにそれぞれ1本ずつ持ってるよ。
 
つまり、今後の行動としては…
①武器庫で剣を取り戻す
②出てくる整合騎士を倒しながら塔を上がる
③アリスと遭遇したら短剣で刺す→カーディナルが眠らせて大図書室に転送
④最上階(百階)に辿り着いたら、アドミニストレータを短剣で刺して、アリスの“記憶の欠片”を手に入れる

ノマ

っていう流れだね。

デュソルバード・シンセシス・セブン

武器庫の近くに転送されたキリトたちは、誰にも会うことなく武器を取り戻せた。
 
しかし、衣服を着替えて武器庫を出た直後、バラ園で飛竜に乗っていた整合騎士に襲われる。
 
キリトたちは息のあったコンビネーションで相手を追い詰めると、整合騎士は【武装完全支配術】を発動し、二人は弾切れのない炎の矢に苦戦する。
 
だが、キリトがとっさの機転で剣を風車のごとく回転させて炎を防ぐと、ユージオが騎士へと斬り込む。
 
すると、青薔薇の剣がユージオの想いに応えるように力を発揮し、渾身の一撃を浴びせることに成功した。

勝負がつき、天井を仰いで動けなくなった騎士は、ユージオに「天命を断て」という。
 
最初は戸惑うユージオだったが、相手が8年前にアリスを連れ去った整合騎士、デュソルバード・シンセシス・セブンだと分かると、怒りが込み上げてトドメを刺そうとする。
 
しかし、キリトの言葉がユージオの動きを止めるだけの衝撃を与えた。
 
 
「このおっさんは、きっと憶えていないよ。ルーリッドの村からアリスを連行した時のことを…。忘れたんじゃない、記憶を消されたんだ
 
 
その後の説明を聞いても完全に割り切れないユージオだったが、憎むべき敵はアドミニストレータただ一人だと分かり、キリトと共に上り階段の方へ歩き始めた。
 

ノラ

デュソルバードからアリスの記憶が消されたのはなんでだ?

ノマ

整合騎士たちは「天界から召喚された」って、最高司祭に聞かされてるんだ。
 
でもその話を押し通すためには、自分が人間だったときの記憶だけじゃなく、自分以外の騎士の誕生に関する記憶も残してたら都合が悪いんだよ。
 
だって、自分が連れてきた大罪人が、翌日には仲間の騎士として現れたら混乱するでしょ?

ノラ

確かにな。

ノマ

まあユージオの怒りや憎しみが完全に消えたわけじゃないと思うけどね。

リネルとフィゼル

キリトたちは黙々と階段を上り続けた。
 
デュソルバードを倒した際、彼が50階で複数の整合騎士が待ち受けていると話していたが、28階まで誰とも会うことはなかった。
 
そして29階に到達したとき、キリトたちの前に二人の少女が現れる。

少女たちはフィゼル(左)リネル(右)と名乗り、ダークテリトリーからの侵入者が現れたと聞いて、興味本位で来たという。
 
だが、彼女たちの正体は整合騎士だった。
 
ユージオとキリトは油断したところを毒入りの短剣で刺されると、体がマヒした状態で50階まで運ばれた。
 

ノラ

なんで わざわざ50階まで運んだんだ?

ノマ

正式な整合騎士となって飛竜と神器をもらうためさ。
 
フィゼルとリネルは、蘇生術の実験をするためにカセドラルで生まれた存在なんだけど、その実験が中止になっちゃったんだ。
 
そこで前の整合騎士を倒して、死んだ騎士の代わりに特例で整合騎士になった経緯があるんだよ。

ノラ

ふ~ん。

ノマ

だけど、他の騎士みたいに防衛任務に就くには勉強不足ってことで、修道女見習いとして勉強中らしいんだけど、それが嫌になったみたい。

ノラ

それで認めてもらうために、他の騎士が見てる前でキリトたちを殺そうとしたのか。

ノマ

そういうこと。
 
少女二人はユージオとキリトを引きずりながら、50階の「霊光の大回廊」に到着した。
 
そこには五人の騎士たちがいて、その内の一人は整合騎士の副団長、ファナティオ・シンセシス・ツーだった。
 
ファナティオに「今から侵入者の首を落としますから、最高司祭様にちゃんと報告してくださいね」という少女たち。
 
しかしその瞬間、マヒ毒を受けたはずのキリトが二人の背後に回り、フィゼルとリゼルが持つ毒剣を奪って切りつける。
 
驚いた表情を浮かべながら床に転がる子供たち。
 
キリトはリネルの懐から解毒剤を取ってユージオに飲ませると、整合騎士5人を相手に一人で戦いに挑む。
 

ノラ

なんでキリトは毒を受けながら動けたんだ?

ノマ

子供たちと会ってすぐに、毒を分解する神聖術を唱えてたんだよ。

ノラ

それって二人が整合騎士だと見抜いてたってことか?

ノマ

会った直後、フィゼルが口を滑らせたんだよ。「全修道士、修道女は私室は部屋から出ないように命令されてる」って。
 
カセドラルの中に命令を破る者がいるはずないから、命令に従わない子供たちは本物の修道女見習いじゃないってことだよね。
 
それに彼女たちが身に付けてた鞘が特殊なモノだったから、最初から警戒してたみたい。

ノラ

さすがの洞察力だな。

ファナティオの素顔

戦闘早々、ファナティオは【武装完全支配術】の詠唱を開始した。
 
キリトはファナティオに斬りかかろうとするが、配下の四騎士「四旋剣(しせんけん)」が行く手を阻む。
 
四旋剣の“集団による連続攻撃”に押されるキリト。
 
 
だが、その連携攻撃も万能ではなく、わずかな隙をついて突破し、詠唱中の騎士に『ソニック・リープ』を放つ。
 
そしてキリトが剣を前に振り始めようとした瞬間、ファナティオの細剣が輝き、凄まじい速度で前に伸びた。

細い光線はキリトの脇腹を貫通し、その衝撃で『ソニック・リープ』は不発に終わる。
 
 
ファナティオが持つ神器の名は「天穿剣(てんせんけん)」
 
千枚の大鏡から生み出された剣であり、白い光線の正体はソルスの光だという。
 
 
その光に対抗するため、キリトは神聖術で“鏡”を作り出す。


 
光線は鏡をあっけなく砕いたが、一部の光がファナティオへ反射。
 
ファナティオは完全には回避できず、光は兜をかすめて留め金を消滅させた。
 
 
「見たな…貴様ッ!!」
 
 
結果、壊れた兜が床に落ち、彼女の素顔をさらした。


 
相手が女だと知っても手を緩めないキリト。
 
二人の攻防は激しさを増し、ついにファナティオは【記憶解放術】を発動する。
 
 
解放された天穿剣はランダムに光線を放ち、ファナティオ自身も巻き込んだ。
 
すると、キリト達が光を防ぐのに必死な状況で、ユージオは完全支配術を発動!
 
 
「咲け! 青薔薇ッ!!」
 
 
四旋剣とファナティオの足元から、無数の薄青い氷の蔓(つる)が一瞬にして伸び上がり、脚から腰、腹へと這い上がる。


 
すると四旋剣は氷像と化したが、ファナティオは驚異的な精神力で打ち破っていく。
 
彼女の意志の強さに「勝てない」と思ったユージオは、せめて意地を見せたいと心の底から憎しみを集めようするが、そこでキリトが小さく呟いた。
 
 
「憎しみじゃ、あいつには勝てないよ、ユージオ」
 
 
そして天穿剣の光が放たれる直前、キリトは決意に満ちた声で叫ぶ。
 
 
「エンハンス・アーマメント!!」
 
 
あらゆる光を吸い込むような漆黒の“闇”が黒い剣から溢れ出す。


 
キリトは黒い剣の記憶を呼び覚まし、悪魔の樹「ギガスシダー」を出現させたのだ。
 
直後、漆黒の大槍が、ソルスの光を束ねた大槍とぶつかり合う。
 
そして光と闇の激突は、ギガスシダーのソルスの光を貪欲なまでに吸収し、己の力に変える性質もあり、キリトの勝利に終わった。

キリトの決断

闇の大槍の直撃を受けたファナティオは、命を失う寸前だった。
 
神聖術を使い、なんとか助けようとするキリトとユージオ。
 
しかし、出血は減っても完全には止血できない状況にユージオは諦めようとした。
 
すると、キリトはカーディナルにもらった短剣を取り出し、ファナティオを助けようとする。
 
 
「それはダメだ、キリト! それはアドミニストレータと戦うための…」
 
「解ってる。でも、これを使えば助けられる…。助ける手段があるのに、それを使わないなんて…人の命に優先順位をつけるなんて、俺にはできない
 
 
キリトはそう言って、短剣をファナティオに突き刺す。


 
するとカーディナルが現れ、ファナティオを連れて図書室へと戻って行った。
 

ノラ

切り札を使っちまったか。まぁキリトらしいけどな。

ノマ

カーディナルによると、アドミニストレータは非覚醒状態(睡眠中)だから「目を覚ます前に最上階に辿り着けば、短剣を使わずに排除が可能だ」ってことらしいけど…。

ノラ

じゃあまだ希望はあるな。整合騎士も残り少ないだろうし。

昇降係の少女

 
「か…階段がないよ」
 
大回廊を抜けて二人が踏み込んだのは、天井がない薄暗い広間だった。
 
51階へと続く階段がなく、吹き抜けを見上げると、どこまでも暗闇が続いていた。
 
キリト達はどうやって先に進もうか迷っていると、そこに円盤が降りてくる。
 
そして、円盤の上には一人の少女がいた。
 
 
「お待たせ致しました。何階をご利用でしょうか」

 
少女は二人を上の階まで連れて行くと話すと…
 
 
「じゃあ、行ける一番上の階まで行ってくれ」
 
 
無警戒に乗り込むキリトを見て呆れるユージオ。
 
少女が神聖術を唱えると円盤が上昇。
 
移動中に少女から話を聞くと、自分の名前は思い出せないが、昇降係の天職を授かってから107年間、ずっと円盤を動かしているという。
 
 
そんな話をしている内に、二人は80階の『雲上庭園』に到着した。
 
円盤を降り、近くにあった扉を開けると、そこにはアリスがいた。
 

キリト VS アリス

 
「お前は戦うな、ユージオ。カーディナルの短剣を、確実にアリスに刺すことだけ考えるんだ」
 
アリスを見て動けないでいるユージオに、キリトはそう声をかけた。
 
アリスは武装している様子はなかったが、二人が近づいていくと、彼女の近くにあった“樹”が剣へと代わる。
 
 
「あの剣…まさか! もう完全支配状態なのか!?」
 
 
慌ててアリスに突っ込むキリト。
 
すると、アリスの持っていた剣の刀身が無数の小片に分かれ、キリトを襲った。


 
アリスの持つ神器は金木犀(キンモクセイ)の剣。
 
その樹の原型は、神が設置した最初の破壊不能オブジェクトだった。
 
 
キリトが持つ黒い剣でも勝負にならず、戦いは一方的な展開になる。
 
すると、キリトがわずかな隙を作ってアリスに飛びかかり、彼女を抑える。
 
その瞬間、ユージオが完全支配術を発動させると、分厚い氷が二人を覆った。


 
アリスを覆う一本の氷柱に短剣を握りしめて近づくユージオ。
 
しかし、彼女の剣が無数の花弁へと分裂すると、ざああっ…と黄金の花嵐が氷柱を包み込み、みるみる氷を削っていく。
 
 
「…たかが氷で、私の花を止められるはずがありません。お前とは次に戦ってあげますから、そこでおとなしく待っていなさい」
 
 
アリスはそういうと、右手に花弁を瞬時に集め、剣が元の形へと戻っていく。
 
 
「エンハンス・アーマメント!!」
 
 
その瞬間、完全支配術を詠唱したキリトが叫ぶ。
 
狙いはアリス本人ではなく、凝縮する寸前の金木犀の剣。
 
制御を乱した花弁は闇の奔流と入り混じり、アリスの背後にある大理石の壁へとぶち当たる。
 
 
ユージオはこれが最後のチャンスだと短剣を取り出すと、アリスへと距離を縮めていく。
 
だがその時、二本の神器の完全支配術が融合した力に耐えきれなくなった壁が崩壊。
 
壁の近くにいたアリスとキリトは、塔の外へ飛ばされてしまった!


 
すぐに二人を助けようとするユージオだが、壁は時間を巻き戻すかのように戻っていった。
 
 
「キリトーー!! アリスーーーッ!!」
 
 

ノマ

ここまでが小説12巻の内容だよ。

ノラ

マジか! めっちゃいいところで終わったな!

ノマ

当時は13巻の発売が待ち遠しかっただろうねw

ノラ

だろうな。続きが気になるわー。

ノマ

文字数も多くなってきたから、ここからは少し駆け足で紹介していくよ。

13巻:アリシゼーション・ディバイディング

 
アリスとキリトは生きていた。
 
キリトが黒い剣を壁のわずかな隙間に差し込み、左手でアリスを掴んだのだ。

「大罪人に命を救われ、生き恥は晒すつもりはない」というアリスを説得し、ひとまず二人は休戦協定を結ぶ。
 
そしてアリスから情報を引き出すと、塔内部から戻れそうな場所、95階の『暁星(ぎょうせい)の望楼(ぼうろう)』を目指すことになった。

ミニオン

キリトはアリスに籠手を形状変化させて鎖を作らせると、自分とアリスを繋いだ。
 
それから神聖術でハーケン(鉄棒)を作り、ブロックの隙間に打ち込んで固定。
 
そして、キリトがその上によじ登った後、鎖でアリスを引っ張り上げ、キリトが立っていたハーケンに乗せる。


 
この作業を繰り返し、二人は時間をかけて外壁を上っていた。
 
しかし、85階を過ぎた辺りでダークテリトリーの魔物『ミニオン』に襲われる。
 
ハーケンの上での戦闘だと敗北確定に思われたが、少し先にあった幅1メートルほどのテラスに着地すると、二人はミニオンをなんとか撃退した。


一方その頃、ユージオは…

ユージオ VS ベルクーリ

人界暦380年5月
 
アリスとキリトが生きている事を信じて先に進むユージオ。
 
90階に到達して開けた扉の先には、一階分の面積を全て費やすほどの大浴場が広がっていた。
 
そこにいたのは、整合騎士長のベルクーリ・シンセシス・ワン
 

彼が持つ神器は時穿剣(じせんけん)
 
その能力は、剣を振った瞬間に発生した威力がしばらく残り続ける効果を持っていた。
 
 
時穿剣の一太刀を受け、その効果を身をもって知ったユージオは、青薔薇の剣の完全支配術で遠距離からの攻撃を試みる。
 
その思考を読んだベルクーリは時穿剣の斬撃ですべての氷を打ち砕くが、ユージオはさらにその上を読んでいた。
 
敵の剣をかいくぐり懐に飛び込むと、ベルクーリの腰に組みつき、相討ち覚悟で【記憶解放】を発動。
 
 
「リリース…リコレクション!!」
 
 
広大な浴槽全体が真っ白く氷結し、ベルクーリは首の半ばまで氷中に沈んだ。

それでも力ずくで氷を砕こうとする騎士長に、ユージオは追撃を加える。
 
 
「咲け――青薔薇!!」
 
 
膨大な花がユージオとベルクーリの天命を吸って咲き誇る。
 
年を取って天命の最大値が減っているベルクーリに対し、ユージオは今が最大に近い。
 
そのことに気付いたユージオは、この方法に賭けたのだ。
 
 
両者とも動けなくなり、このまま相討ちになると思ったそのとき、元老長・チュデルキンが現れる。

チュデルキンは反逆者を相手に手加減して戦ったことは最高司祭への反逆だと激怒。
 
神聖術を使ってベルクーリを石の彫像へと変えてしまう。


 
「もうオマエみたいなジジィは要らねえンですよゥ、一号。なかなか使えそうなコマも見つかったことですし…ねェ?」
 
 
その様子を見ていたユージオだったが、そこで限界が訪れ、意識が途切れた。

右眼の封印

カセドラル88階あたりの外壁に設けられた狭いテラスの上。
 
日が沈み、ハーケンを作るために必要なリソース不足もあり、アリスとキリトは動けないでいた。

そんなとき、キリトの失言をきっかけに、アリスに全てを話すことになる。

・整合騎士は最高司祭によって記憶を封じられていること
・整合騎士の半分は統一大会の優勝者で、残り半分は禁忌目録に違反した罪人であること
・アリスが犯した禁忌について
・アリスの名前、故郷、家族について…

キリトが知る限りのことを話し終えると、アリスは嗚咽をもらして泣いた。
 
 
「セルカ…思い出せない。顔も、声も。でも…この名前を呼ぶのは初めてじゃない。私の口が、喉が…心が、憶えている
 
 
アリスは記憶を取り戻した後に故郷に連れて行ってほしいと頼み、それをキリトが約束すると、整合騎士の使命を捨てようとする。
 
だがその時、アリスの右眼に【SYSTEM ALERT】の文字が浮かび上がる。

この現象は創世記には登場しない“神”たちの一人がした事だと説明すると、
 
 
「ひどい…私から家族の、妹の思い出を奪い、その上このような封印すら施して…服従を強要するなんて…私は、人形ではない!」
 
 
キリトの制止を振り切り、アリスは叫ぶ。
 
 
「私にも意思はあるのです! 私はこの世界を…世界に暮らす人々を守りたい。家族を、妹を守りたい。それが私の果たすべき、唯一の使命です!!」
 
「最高司祭アドミニストレータ…そして名を持たぬ神よ! 私は、私の成すべきことを成すために…あなたと戦います!!
 
 
その瞬間、アリスの右眼が吹き飛び、彼女の血がキリトの頬を濡らした。

元老院の秘密

アリスは右眼を失った痛みと衝撃で気を失った。
 
キリトは神聖術で止血した後、即席の包帯をアリスの顔に巻き、彼女を背負って塔を上る。
 
月が出るのを待って壁上りを再開してから2時間後、ようやく目標の95階まで到着するが、そこにユージオの姿はなかった。
 
 
キリトは神聖術で青薔薇の剣をサーチして居場所を割り出すと、目を覚ましたアリスと共に90階まで下りる。
 
そこには真っ白に凍結した大浴場と、石化した整合騎士長の姿が。
 
ベルクーリを石化したのは元老長の仕業だと気付いたアリスは、怒りと悲しみで涙を流す。
 
その直後、ベルクーリが無理矢理(一部の)石化を解除し、ユージオが元老長に連れて行かれたことを知る。
 
キリトは青薔薇の剣を回収し、再びアリスと最上階を目指す。
 
 
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
 
 
96階に足を踏み入れたキリトたち。
 
そこで見たのは、ライオスたちと戦った直後に現れた“顔”が、何十人もいる異様な空間だった。


彼らは人界から拉致してきた人間のうち、戦闘能力には欠けるが神聖術に秀でた者の感情や思考を封じ、元老という監視装置に変えられた者たちではないか…と、キリトは推測。
 
そのとき、奥から絶叫が聞こえて先に進むと、そこにはチュデルキンがいた。
 
 
チュデルキンは大きなガラス玉を夢中で覗き込んでいて、ガラス玉には長い銀髪で全裸姿の少女が映っていた。
 
アリスは背後から近づいて剣を向けると、少女が裏切ったことに激怒したチュデルキンは、彼女が整合騎士になる前のことを語る。

・2年間、修道女見習いとして育てたこと
・生活規則の抜け穴を見つけて、セントリアの夏至祭を見物に行くようなお転婆だったこと
・通常のシンセサイズに必要な術式の詠唱をアリスが拒否したこと
・元老たちの三日三晩に及ぶ多重術式で、心の壁を無理矢理にこじ開け、強制シンセサイズしたこと

すべてを聞いたアリスは、チュデルキンの胸に刃を突き刺す。

しかし、「ばぁん!」という盛大な破裂音を響かせると、チュデルキンの体が風船のように弾き飛ぶ。
 
 
「なにっ…!」
 
 
噴き出したのは血液ではなく、真っ赤に着色された煙だった。
 
煙は部屋を覆い尽くし、その隙にチュデルキンの本体は奥の隠し通路へと逃げて行った。

心意の腕

チュデルキンを追いかけたキリトたちは、ついに99階まで到着。
 
しかし、そこに元老長の姿はなく、上への階段もなかった。
 
部屋を見回しても何もなかったが、不意にアリスが呟く。
 
 
「…私、この部屋を知っています。ここは…六年前、整合騎士見習いとなった私が目覚めた場所…
 
 
アリスによると、そのときに天井から小さな昇降盤が降りてきたのを見たという。
 
チュデルキンを見失う直前、何か詠唱していたことを思い出したキリトは、かろうじて最初の言葉を思いし、アリスが詠唱。
 
すると、天井に直径一メートルほどの光が浮かび上がり、昇降盤がわずかな振動とともに床に着地した。
 
 
昇降盤に向かって歩き出すキリトたち。
 
だがそこで、天井の穴から何者かが舞い降りてくる。
 
 
「まだ整合騎士が残ってたのか?」
 
「確かにあの鎧は…いえ、でも…」
 
 
そこにいたのは、整合騎士の鎧を着たユージオだった。
 
 
「…ユージオ……」
 
「まさか…早すぎる」
 
「早いって、何が…」
 
「儀式の完了が、です。お前の相棒は…ユージオは、すでにシンセサイズされています
 
 
激しく動揺するキリトを叱り、活を入れるアリス。
 
落ち着きを取り戻したキリトは、「ここは俺に任せてくれ」と言い、一人でユージオと対峙する。
 
しかし、キリトの呼びかけに何も反応しないユージオ。
 
 
「これ以上君と話すことはないよ。戦おう…君たちも、そのためにそこに居るんだろう?」

心意の腕(かいな)を使い、キリトから青薔薇の剣を奪うユージオ。
 
そして迷いなく刀身を抜いて構えると、やむなくキリトも黒い剣を構える。
 
 
「ユージオ。憶えてないだろうけど、お前に剣技を教えたのは俺だ。師匠として、まだ弟子に負けてやるわけにはいかない」
 
 
二本の剣が鮮やかなライトグリーンの輝きを放ち、キリトとユージオは、同時に大理石の床を蹴った。
 
 

ノマ

ここまでが13巻の内容だよ。

ノラ

また良いところで終わったな。ところで「心意の腕」ってなんだ?

ノマ

心意の腕は、神聖術でも完全支配術でもなく、たた意志の力だけで物を動かす、整合騎士に伝わる秘術だよ。
 
アリス曰く、使える騎士はベルクーリの他にほんの数人らしいけどね。

ノラ

アリスにも使えないのか?

ノマ

アリスは神器どころか、小石も動かせないらしいよ。

ノラ

それを使えるってことは、ユージオの方が素質は上ってことか。

ノマ

実はユージオに挿入された敬神モジュールは改良版で、その瞬間から心意の力を使えるようになるみたい。
 
だからアリスよりも素質があるかと言われると微妙かな。
 
まあそれはともかく、次回(14巻)でいよいよ「人界編」も終わりだよ。

ノラ

いよいよ最終決戦か。楽しみだな。

14巻:アリシゼーション・ユナイティング

キリトにとって、ユージオはアンダーワールドに来てから旅をともにした親友であり、ソードスキルを教えた弟子でもある。
 
しかし、目の前にいるのは最新の整合騎士、ユージオ・シンセシス・サーティツーだった。
 
突進系ソードスキル「ソニックリープ」を同時に放った二人の剣が激しくぶつかり合う。

キリト VS ユージオ

キリトは戦いながら、ユージオのシンセサイズを解除することを考えていた。
 
対象者(ユージオ)が最も大切にしている誰かの記憶を奪われたのなら、それはアリスしか考えられない。
 
しかし、彼は少し離れたところに立つアリスを見ても何の反応も示さなかった。
 
 
キリトはアインクラッド流や体術を使い、ユージオは神聖術とバルティオ流を駆使して戦う。

そして何度か剣を交えたとき、キリトの心が届いたのか、突如ユージオの記憶が戻る。
 
だがそこで、ユージオは【記憶解放】を放つと、キリトとアリスを胸元まで氷漬けにした。
 
 
「ユージオ…なんで……」
 
「…ごめんよ、キリト…アリス。僕を、追ってこないでくれ…」
 
 
昇降盤に乗り、ユージオはカセドラル100階、アドミニストレータの居室へと消えた。
 

ノラ

ユージオは記憶が戻ったのに、どうしてキリトたちを氷漬けにしたんだ?

ノマ

アドミニストレータの誘惑に負けて、二人に剣を向けてしまったことに罪悪感を感じたんだよ。
 
それにシンセサイズが解除されたわけじゃなく、一時的に記憶が戻っただけなんだ。
 
だから本来の意識を保っていられる間に、最高司祭にカーディナルの短剣を突き刺す覚悟を決めたみたい。

ノラ

なるほどな。まぁキリトだったら気にしないと思うけどな。

ユージオの償い

最上階に戻ったユージオは、迎えたチュデルキンに「二人を氷に閉じ込めてきた」と報告し、元老長は二人を石人形に変えるため、99階へと下りて行った。
 
一人残ったユージオは最高司祭のもとへ。
 
 
アドミニストレータは“ご褒美”だとベットに招くが、ユージオの表情から不安定だと感じて、シンセサイズをやり直すことに。
 
敬神モジュールを取り出し、あとは術式を唱えるだけ…。
 
その瞬間、ユージオは例の短剣を取り出し、最高司祭の胸元を突いた。


しかし、短剣の切っ先が届く直前、紫色の防壁に阻まれる。
 
 
「そんな小道具をどこに隠し持ってたのかと思ったら…図書室のちびっこの仕業ね。でも残念でした。いまの私の肌には、あらゆる金属オブジェクトは傷をつけられないの
 
 
たとえ小さな針でも傷をつけられないという最高司祭。
 
それでもユージオは青薔薇の剣を手に取り、覚悟を込めて「ソニックリープ」を放った。
 
結果は同じだったが、障壁が完全無欠ではないことを察したユージオ。
 
 
 
そのとき、チュデルキンが悲鳴を上げ、ボロボロの状態になって戻ってくる。
 
と同時に、反逆者の二人も到着。
 
 
「…キリト……」
 
「よう、ユージオ」
 
「…来るなって、言ったのに」
 
「俺が、お前の言いつけを素直に守ったことがあったか?」
 
「そうだね。君はいつも…そうやって…」
 
 
そして、ユージオがキリトの隣に立ち、二人と並んだアリスが最高司祭に言い放った。
 
 
「最高司祭様。栄えある我らが整合騎士団は、本日を以て壊滅いたしました。私の隣に立つ、わずか二名の反逆者たちの剣によって」
 
「…そして、最高司祭アドミニストレータ、あなたがこの塔とともに築き上げた果てしなき執着と欺瞞(ぎまん)ゆえに!」

反逆者 VS チュデルキン

アリスの発言に激怒するチュデルキン。
 
最高司祭に反逆者3人を凍結するよう命じられた元老長は、頭だけを使って逆立ちし、両手両足を使って神聖術を唱えた。
 
そこから生み出された氷柱が三人を襲うが、これをアリスが無効化。
 
すると、最高司祭から助言されたチュデルキンが、今度は実体なき火炎ピエロ(炎の巨人)を生み出す。

「チュデルキンを甘く見すぎたようです。残念ですが、あの実体なき炎の巨人は、私の花たちでは破壊できない」
 
 
アリスはそういうと、自分が攻撃を防いでいる間に、二人でチュデルキン本人を討ってくれと頼む。
 
しかし、接近する二人を最高司祭が黙って見過ごしてくれるという保証はない。
 
しかも、彼女に触れたら術式で身動きを取れなくなる可能性もある…。
 
 
そこでキリトは、相棒にチュデルキンの注意を自分から逸らすように頼むと、ユージオが神聖術でアドミニストレータを攻撃。
 
攻撃はあっけなく防がれるが、チュデルキンの目が最高司祭に逸れたところで、キリトが「ヴァーパル・ストライク」を放った。

通常なら届かない距離だったが、イマジネーション(心意)の力で拡張した「ヴァーパル・ストライク」は、チュデルキンの胴体を貫いた。
 
 
「……あぁ…アタ、シの……げい…か……」
 
 
火炎ピエロは消え、チュデルキン本人は自ら作り出した鮮血の池に倒れた。

ソードゴーレム

 
「…ま、退屈なショーではあったけど、それなりに意味のあるデータも少しばかり拾えたわね」
 
 
倒れたチュデルキンを壁に投げ捨て、笑みを浮かべるアドミニストレータ。
 
 
「イレギュラーの坊や。あなた、あっちから来たのね? 『向こう側』の人間…そうなんでしょ?」
 
 
最高司祭はチュデルキンとの戦いを見て、キリトが現実世界から来たと確信していた。
 
 
「そうだ。…とは言え、俺に与えられた権限レベルはこの世界の人たちとまったく同等で、あなたのそれには遠く及ばないんだけどな、アドミニストレータ…いや、クィネラさん」
 
 
キリトは肯定し、ユージオとアリスを置き去りにして話を進めると、カーディナルが言っていた『最終負荷実験』の問題へ。
 
最高司祭が整合騎士団を作り上げてしまった為に、この世界を停滞させてしまったと話すキリト。
 
一方、最高司祭はアンダーワールドをリセットさせる気はもちろん、『最終負荷実験』さえも受け入れるつもりはないという。
 
 
「そう、結局、数が問題なのよ。コマが多すぎれば制御しきれない。少なすぎれば『最終負荷実験』に耐えられない」
 
「本当のことを言うとね、騎士団はただのつなぎだったのよ。真に私が求める武力には、記憶や感情はおろか、何かを考える力すらも要らない」
 
 
三人の反逆者を前に、余裕を見せながら話すアドミニストレータ。
 
そしてユージオの額から取り出した敬神モジュールを掲げ、術式を唱えた。
 
 
「リリース・リコレクション!」
 
 
その瞬間、広間を取り囲む何本もの柱に取り付けられた、大小様々な剣が小刻みに震える。
 
剣は柱から離れると、最高司祭の上空に寄せ集まり、敬神モジュールを挿入して一つの巨大な塊となった。
 
 
「ふふふ。これこそ、私の求めた力。永遠に戦い続ける、純粋なる攻撃力。名前は……そうね、『ソードゴーレム』とでもしておきましょうか」


 
剣の自動人形と名付けられた巨人は、アリスの金木犀の剣すら弾き返し、彼女を一突きで戦闘不能にした。
 
その後、キリトも同じようにゴーレムの攻撃に沈む。
 
 
(うそだ…嘘だ。こんなのは嘘だ)
 
 
人界最強とさえ言える二人の敗北を信じられないユージオ。
 
そして、恐怖で震えが止まらない彼に向かって、異形の巨人が近づいてくる。
 
 
『短剣を使うのよ、ユージオ!』
 
 
ユージオにとって聞き覚えのない声。
 
それは、いつの間にかキリトの肩に乗っていた、シャーロット(カーディナルの使い魔)の声だった。
 
 
「だ…だめなんだ。あの短剣は、アドミニストレータには届かないんだ」
 
『違うわよ! 通路よ! 床の昇降盤に刺しなさい!
 
「え…」
 
『時間はあたしが稼ぐから! 急いで!!』
 
 
そう叫んだ蜘蛛は、自分の何万倍も大きいソードゴーレムに向かって、一直線に走り始めた。

シャーロットの最期

ごく小さな蜘蛛だったシャーロットは、全長2メートルを超えるほどに巨大化し、ソードゴーレムを迎え撃った。

彼女はゴーレムの弱点であろう敬神モジュールを狙って攻撃するが、複数の剣に防がれ、そこに絡まれる形になった脚を切断される。
 
 
(もういい…逃げろ)
 
 
キリトの願いとは逆に、その後もシャーロットは勇敢に挑んでいく。
 
そして、ソードゴーレムが彼女の胴体を貫いた時、紫色の閃光がキリトの視界を塗り潰した。
 
 
『よかった…間に合った。…最後に…一緒に、戦えて…うれ…し……』
 
 
キリトを優しく見つめたシャーロットの言葉は、宙に溶けるように途切れる。
 
巨体だった蜘蛛は指先ほどの大きさになると、残ったのは仰向けに倒れて四本の脚を縮めた小さな亡骸だけになった。
 
 
 
その後、ソードゴーレムは昇降盤に出現した扉付近にいたユージオに向けて前進。
 
彼が巨大な剣の間合いに入ったとき、ドアが開き、中から強烈な閃光が放たれた。
 
凄まじい稲妻の直撃を受けたゴーレムは、広間の奥まで吹き飛び、ついに動きを止めた。
 
 
扉から現れたのは、アドミニストレータの分身にして対等の権限を持つもう一人の最高司祭。
 
カーディナルはアリスとキリトの傷を癒やすと、床に転がるシャーロットをすくい上げた。
 
 
「この…頑固者。任を解き、労をねぎらい、お前の好きな本棚の片隅で望むように生きよと言うたじゃろうに」
 
「彼女は俺のために自分を犠牲にしたんだ。なんで、そんなことが…」
 
「たとえその知性の本質が、入力と出力データの蓄積に過ぎなくとも、そこに真実の心が宿ることだってあるのじゃ。そう、時として愛すらも…」
 
 
そして、200年来の宿敵を見据えた。
 
 
「貴様には永遠に理解できぬことであろうがな…アドミニストレータ、虚ろなる者よ!」

記憶の欠片

銀髪の少女は笑い声を漏らす。
 
 
「来ると思ったわ」
 
 
アドミニストレータの真の狙いは、キリトたちを追い詰めることによって隔離された大図書室からカーディナルを誘い出すことだった。
 
しかし、ソードゴーレムはほぼ破壊され、4対1では最高司祭が不利な状況だと指摘すると…
 
 
「4人対1人? …いいえ、その計算はちょっとだけ間違ってるわね。正しくは…4人対300人なのよ。私を加えなくても、ね
 
 
その瞬間、破壊されたはずのソードゴーレムが完全復活。
 
恐らく記憶開放術がもたらしたものだろうとキリトが推測すると、先に答えにたどり着いたカーディナルが怒りの声を上げる。
 
 
「おのれクィネラ…貴様は、貴様はどこまで人を弄ぶつもりなのじゃ!!」
 
 
ソードゴーレムの正体は、整合騎士たちから奪った記憶に刻まれた、最愛の人間自身をリソースとして作られたモノだった。
 
さらに、シンセサイズの秘儀で抜き取られた【記憶の欠片】は、水晶となって天井にはめこまれていた。
 
 
剣の所有者は、整合騎士たちから奪われた、愛する誰かの記憶。
 
そして剣は、その愛する誰か…。
 

その事実を知ったとき、カーディナルは殺人禁止の制約によってソードゴーレムを破壊できないことを悟った。
 
負けを認めたカーディナルは、自分の命と引き換えに、この場からキリトたちを逃がすことを要求。
 
 
要求を呑んだ最高司祭は、自身の神器であろう銀の細剣(レイピア)を出現させる。
 
そして、剣の切っ先をカーディナルに向けると、極大の稲妻が彼女を貫いた。
 
 
「さあ…そろそろ終わりにしましょうか。私とお前、二百年のかくれんぼを。さようなら、リセリス。さようなら、私の娘…そして、もうひとりの私」
 
 
最高司祭はそう言うと、横たわるカーディナルの体を撃ち、焼き焦がした。
 
何度目かの攻撃を受け、ひどい火傷を負ったカーディナルを、キリトは両手で抱き上げた。
 
 
『泣くな、キリトよ。そう悪くない、最期じゃ』
 
「ごめん…ごめんよ…」
 
『何を…謝る…ことがある。お主には…まだ、果たすべき、使命がある…じゃろう。お主と、ユージオ、そして…アリス。三人で…この、儚く、美しい、世界…を…』
 
 
不意にアリスが少女の右手を包む。
 
 
「必ず…必ず、あなた様に頂いたこの命…必ずや、お言葉を果たすために、使います」
 
 
そこで反対側からユージオの手が伸びる。
 
 
「…僕もです。僕も、いまようやく、僕の果たすべき使命を悟りました」
 
「そして、その使命を果たすべき時もまた、いま、この瞬間です。僕は逃げない。僕には…為さなければならない役目があります」

ユージオの決意

(ユージオ…いったい、なにを)
 
「カーディナルさん。あなたに残された力で、僕を…僕のこの体を、剣に変えてください。あの人形と、同じように」
 
 
ここで逃げたらアドミニストレータは、世界中の人々をあの恐ろしい人形に変えてしまう。
 
そんなの絶対にさせちゃダメだ、と訴えるユージオ。
 
キリトたちに最高司祭に金属の武器は届かないことを伝えると、ユージオはカーディナルの術式によって青薔薇の剣と融合し、巨大な剣へと姿を変えた。
 
そしてカーディナルが最後の式句を唱えると、天井のアリスの記憶の欠片が輝く。
 
 
剣となったユージオは、切っ先をまっすぐにソードゴーレムに向けると、彗星のように長い軌跡を宙に描いた。
 
 
『…美しい…人の…愛。そして意志が放つ、光…。なんて…』
 
「ああ…そうだな」
 
『キリト…。あとは…頼んだ、ぞ…。この世界を…人々を……守って…くれ…』
 
 
そう言って、最期にカーディナルは微笑んだ。
 
 
ユージオの剣はソードゴーレムを貫くと、殺戮兵器は全身の剣をバラバラに分離させ、四方へ飛散。
 
ゴーレムを動かしていた天井の水晶(記憶の欠片)も輝きを失い、完全に沈黙した。
 
しかし、最後の切り札を破壊されても、アドミニストレータは余裕の表情を浮かべていた。
 
 
「あら。まだやる気なの、坊や? 隙間をつついて私の人形を崩したぐらいで、ずいぶんと強気じゃない?」
 
 
白い大剣(ユージオ)は一直線にアドミニストレータに突進すると、最高司祭はレイピアで迎え撃つ。
 
そして大剣とレイピアが激突し、大爆発を引き起こした。


 
結果、アドミニストレータは右腕を失い、レイピアも無数の破片となって砕けた。
 
一方、白い大剣は光の粒を散らしながら真っ二つに折れた。
 

「ユージオーーーー!!」

黒の剣士、再び

白い剣の断片は、人の姿へと変わった。
 
元の姿に戻ったユージオの体からは大量の血液が溢れ、その隣には半壊した青薔薇の剣が転がった。
 
 
「さて…最後に残ったのがお前だとは、これも少々意外ね、向こう側の坊や。(中略)顛末はあとで【あの者】に訊くとして、いまは坊やの血と悲鳴で、戦いの幕を引くとしましょう」
 
 
アドミニストレータは分断されたユージオの体をまたぎ、キリトに向かって歩き始める。
 
途中、斬り飛ばされた腕に息を吹きかけると、右腕は銀色の長剣へと変化した。
 
 
「さようなら、坊や。いつかまた、向こうで会いましょう」
 
 
絶望し、動けないキリトの首に鋭利な刃が迫る。
 
そのとき、両腕を広げた満身創痍のアリスの背中が視界に入る。
 
 
(この光景は見たことがある)

(俺は、何度、同じ過ちを…繰り返す、つもりなのか!)
 
 
その瞬間、カーディナルの思念が語りかけ、燃え上がるような熱さがキリトを包んだ。
 
再び動けるようになったキリトは、ギリギリのところで銀色の剣を迎撃し、凄まじい火花を散らす。
 
 
「…なんだ…まだ、動けるでは…ないですか」
 
「ああ…あとは、任せてくれ」
 
「そう、させて…もらいます」
 
 
その一言を最後に、アリスは意識を失う。
 
そして、キリトはかつての己の姿を強くイメージ。
 
すると、黒革のコートに身を包んだ『黒の剣士・キリト』がそこにいた。

「黒ずくめの、その姿…まるでダークテリトリーの暗黒騎士ね。…いいわ、あくまで苦痛を望むというのなら、お前には、とても長くて惨い運命を与えましょう」

赤薔薇の剣

武器の優先度では劣るものの、アドミニストレータが知らないはずの連続技を使えば勝機はあるはず…。
 
そんなキリトの予測に反し、最高司祭は連続技だけでなく、キリトの知らないソードスキルまで使ってくる。
 
 
(アドミニストレータに、俺は勝てない)
 
 
神聖術ではもちろん、剣でも勝てない敵に勝負を諦めるキリト。そのとき…
 
 
「らしく…ないぞ。諦め…る、なんて」
 
「ユー…ジオ」
 
「キリト。僕は、あの時…アリスが連れ去られる時、動けなかった。君は…幼い君は、勇敢に…整合騎士に、立ち向かおうと、したのに…」
 
「ユージオ…」
 
「だから…今度は、僕が…君の、背中を押すよ。さあ、キリト…君なら、もう一度、立てる。何度だって、立ち上がれる…」
 
 
刀身の半分を失っている愛剣を握りしめ、ユージオは目を閉じる。
 
すると、ユージオの血が無数の光点となって浮き上がり、そのまま降下して青薔薇の剣へと吸い込まれた。
 
物質組成変換によって赤色へと染まった青薔薇の剣を、ユージオはキリトへ渡す。
 
 
『さあ、立って、キリト。僕の、親友…。ぼくの…英雄』
 
「ああ…立つよ。お前のためなら、何度だって」
 
 
両手に黒と赤の剣を持ち、キリトはよろけながらも前に進む。
 
 
「…なぜだ。なぜそうやって、愚かにも運命に抗うのだ」
 
「それだけが…抗うことだけが、俺がいまここにいる理由だからだ」
 
「…許さぬ。ここは私の世界だ。招かれざる侵入者に、そのような振る舞いは断じて許さぬ。膝を突け。首を差し出せ。恭順せよ!」
 
「違う。あんたはただの簒奪者だ。世界を…そこに生きる人々を愛さない者に、支配者たる資格はない!」
 
「愛は支配なり。私は全てを愛する。全てを支配する!!」
 
 
アドミニストレータは、アンダーワールドにおける貴族制度の象徴であるハイ・ノルキア流秘奥義『天山烈破』を放つ。
 
それをキリトが二刀流で受け止めると、二人は同一のスキル『ヴァーパル・ストライク』を放った。
 
 
最高司祭の剣はキリトの右腕を斬り飛ばし、キリトの黒い剣はアドミニストレータの両腕を断ち斬った。
 
 
「おのれぇぇぇぇッ!」
 
「まだだああああッ!!」
 
 
キリトは絶叫すると同時に、左手に残された赤薔薇の剣でヴァーパル・ストライクを放つ。
 
それはアドミニストレータの胸の中心を、深々と貫いた。

支配者の末路

アドミニストレータの胸の中央を貫いた赤薔薇の剣は、巨大な爆発を引き起こし、最高司祭に大きなダメージを与えた。
 
 
「意外…まったく、意外な結果だわ…。ここに残るリソースをかき集めても追いつかない、傷を負うなんて…ね」
 
 
アドミニストレータはそう言うと、体の向きを変えて広間の北側に歩いていく。
 
そして目的の場所へ到達すると、キリトを見て笑った。
 
 
「ふ、ふ…。こうなれば、仕方…ないわ。予定より、ずいぶんと早い…けれど、一足先に、行かせてもらうわね」
 
 
彼女が床を踏むと、直径50センチほどの大理石の柱がせり上がり、その上には一台のノート型コンピュータが載っていた。
 
 
それは、キリトが二年間追い求めてきた外部世界への連絡装置だった。
 
直後、アドミニストレータの足元から紫色の光の柱が出現し、彼女を音もなく浮き上がらせた。
 
 
「じゃあね、坊や。また…会いましょう。今度は、お前の世界で」
 
「ま…待て!!」
 
 
キリトが這いずりながら叫ぶ。
 
しかし、そこで予想外のことが起きる。
 
キリトに胴体を貫かれ、最高司祭に処分されたはずのチュデルキンが、火炎ピエロ化して最高司祭の両足を捕まえたのだ。
 
 
「猊下あぁぁぁ……アタシも、連れていって、くださいぃぃ!」
 
 
道化はそのままぐるぐるとアドミニストレータの裸身に巻きついていく。
 
これにはさすがの最高司祭も驚きを隠せない。
 
 
「離せっ! 離しなさい、無礼者!!」
 
 
最高司祭の肌がひび割れ、小さな欠片が次々に崩落していく。
 
 
「ああぁぁぁ…ついに…ついに猊下とひとつになれるのですねぇ…」
 
「貴様ごとき…醜い道化に……この私が!」
 
 
最高司祭の体から散る火花と、チュデルキンの炎が混ざり合い、広間を照らす。
 
炎の塊となったチュデルキンは、至福の表情を浮かべて消えていく。
 
 
「ああ…猊下…アタシの…アドミニストレータ…さ…ま」
 
 
そして、アドミニストレータの体も炎に包まれ、跡形もなく消えていった。
 
 
「…私は……私の……世界を……」
 
 
こうして、アドミニストレータ(クィネラ)の天命はゼロになり、そのフラクトライトを収納していたライトキューブは初期化された。

夜空の剣

アドミニストレータの存在が消滅したことを確認すると、キリトは部屋の中央に横たわるユージオの元へ。
 
無残に切断された相棒の体は、治癒術をかけても出血が止まらなかった。
 
 
「止まれ…止まれよ! なんでだよ!!」
 
ステイ・クール…キリト」
 
「!」
 
「いい…んだ。これで…いいんだ、キリト」
 
 
自分の果たすべき役目を果たした。そして、もしこうならなければ、お互いのアリスのために戦わなければならなかっただろう…というユージオ。
 
 
「僕は…アリスの記憶を、取り戻させるために…そして君は、整合騎士アリスの魂を、守るために…」
 
「なら…戦えよ! 傷をぜんぶ完璧に治してから、俺と戦え! お前はもう俺より強い! だから、お前のアリスのために…俺と…」
 
「僕の…剣は、もう…折れて…しまったよ」

「キリト。僕は、ずっと、君が羨ましかったんだ。誰よりも、強くて…誰にだって愛される君が…。もしかしたら…アリスだって、君を…。そんなふうに、怯えたりもしたんだよ…」
 
「でも、ようやく解った。愛は求める、ものじゃなくて…与える、ものなんだって。アリスが…それを、教えて…くれたんだ…」
 
 
そこでユージオが手にしていた記憶の欠片が瞬き、世界が白い光に包まれる。
 
 
__________________________________________
 
 
「なあ…そろそろ戻ろうぜ。バレちゃうよ」

「まだ大丈夫よ。もう少し…もうちょっとだけ、ね?」

「しょうがないなぁ。じゃあ、ほんとにあとちょっとだぜ」
 
……
 
………
 
「でーきた!」
「できたぞ!」
 
 
そのとき、二人の背後からガサガサと草を踏み分ける音が聞こえてくる。
 
 
「なんだ、二人とも朝から見かけないと思ったら、こんなとこにいたのか」
 
「バレちゃったわねぇ」
 
「だから言ったじゃないか。台無しだよもう」
 
「台無しってことないわよ。いいからそれ寄越しなさいよ」
 
 
仕上がったばかりの木剣をキリトから奪い取り、自分の持つ革鞘に収めるアリス。そして…
 
 
「3日ばかり早いけど…ユージオ、誕生日、おめでとう!
 
「え…これ、僕に…? こんな、すごい物…。僕…僕、大事にするよ。ありがとう、二人とも」
 
「お…おい、泣くなよ!」
 
 
笑い合う三人。
 
不意に、その笑顔が虹色の光ににじむと、並んで立つアリスとユージオが声を揃えて言った。
 
 
「僕たち…私たち三人は、確かに同じ時を生きた」
 
「道はここで分かれるけど…でも、思い出は永遠に残る」
 
「君の…あなたの中で、生き続ける。だから、ほら―」
 
__________________________________________
 
 
「だから、ほら…泣かないで、キリト」
 
「ああ…思い出は、ここにある。永遠に、ここにある」
 
「そうさ…だから僕らは、永遠に、親友だ」
 
 
輝きの薄れかけた瞳でキリトの名を呼ぶユージオ。
 
 
「どこだい…キリト、見えないよ…」
 
「ここだ、ここにいるよ」
 
「ああ…見えるよ。暗闇に、きらきら光ってる…。ギガスシダーの根本で…毎晩、ひとりで、見上げた…夜空の星…」
 
「そうだ。キリトの黒い剣…『夜空の剣』って名前が…いいな。どうだい…」
 
「ああ…いい名前だ。ありがとう、ユージオ」
 
「この…小さな、世界を…夜空のように…優しく……包んで……」
 
 
その言葉を最後に、ユージオは緩やかに目を閉じた。

回廊の彼方

ユージオは、どこか暗い回廊に立っていた。
 
その隣には、青いドレス姿のアリスが微笑んでいる。
 
 
「これで…よかったんだよね」
 
「ええ。あとは、あの二人に任せましょう。きっと、世界をあるべき方向に導いてくれるわ」
 
「そうだね。じゃあ…行こうか」
 
「うん」
 
 
幼い二人の少年少女は、互いの手を握り合い、回廊の彼方に見える白い光を目指して歩き始めた。

その瞬間、ユージオという名で生きたひとつの魂は、小さな立方体から永遠に解き放たれた。
 
同時に、ユージオのライトキューブから離れた位置にある、アリス・ツーベルクという名の魂でも同様の処理が行われた。
 
ふたつの魂を構成していたフォトンの集合が、どこへ消えたかを知る者はいない。

傷ついた魂

悲しみに浸るのもつかの間、現実世界と連絡を取るキリト。
 
すると、モニターの向こうから銃声が聞こえてきた。
 
菊岡が応答するが、かなり焦っているらしい。
 
 
「いいか…キリト君、アリスという名の少女を探すんだ! そして彼女を…」
 
「探すもなにも…いまここにいる!」
 
「な、なんてことだ…奇跡だ! よし、アリスを連れて『ワールド・エンド・オールター』を目指してくれ! いま君が使っている内部コンソールはこのメインコントロール直結だが、ここはもう陥ちる
 
「陥ちる…って、いったい何が…」
 
 
そのとき、別の声が至近距離で響く。
 
 
「まずい! 奴ら、主電源ラインの切断を開始した模様ッ!」
 
「それはやばいッスよ!菊さん、いま主電源ラインを切られたらサージが起きる! サブコンの桐ケ谷くんのSTLに過電流が…フラクトライトが焼かれちまいます!」
 
「ここのロック作業は僕がやる! 比嘉くん、君は神代博士と明日奈くんを連れてアッパーシャフトに退避、キリト君を保護してくれッ!」
 
 
(明日…奈? アスナがそこに? いったいなぜ?)
 
 
菊岡に問いただそうと端末に顔を近づけるキリト。
 
そのとき、悲痛な絶叫が聞こえてくる。
 
 
「ダメだ…電源、切れます! 全員衝撃に備えて!!」
 
 
その瞬間、キリトは肉体ではなく魂に深いダメージを受けたことを実感する。
 
そして意識を失う直前、どこか遠くから声が聞こえた。
 
 
「キリトくん…キリトくん!!」
 
 
泣きたくなるほど懐かしく、狂おしいほどに愛おしい、その響き。
 
あれは――誰の声だったのだろう…?
 
 
~つづく~
 
 

ノマ

14巻、そして人界編はここまでだよ。

ノラ

さすがに6冊分は長かったな。この後はどうなるんだ?

ノマ

次回(15巻)からアンダーワールド大戦編になって、カーディナルが預言した『最終負荷実験』が始まるんだ。

ノラ

いよいよ闇の軍勢が動き出すんだな。

ノマ

そうだよ。整合騎士たちと現実サイドのお馴染みのメンバーが協力して戦うんだ。

ノラ

アスナたちも登場するのか。

ノマ

そして、キリトと●●の因縁の対決もあるよ。

ノラ

まさか団長か!?

編集後記

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
 
当初は巻数ごとに書こうか迷ったのですが、ひとつの記事にまとめた結果、文字数が3万文字を超えましたw
 
いやー長かった。次はページを分けようかな。
 
 
それにしても改めてアニメで見ると面白いですね。
(キリトとアリスが塔の外壁を登る絵はシュールだったw)
 
これで結末(ユージオの死亡)も変わってくれるといいのですが・・・まぁないですね。
 
ユージオが生き返る可能性は?
 
 
あと、当記事でも省略した部分(ザッカリア大会など)は多いので、もっと詳しく知りたい方は原作を読んでみて下さいね。
 
 
それでは最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
 
お疲れ様でした!

【SAO】アリシゼーション(アンダーワールド大戦編)のネタバレ

20 Comments

匿名

アニメより先を進んでくれていると思って読んだが、アニメと同時進行でネタバレ要素なくがっかりしました。

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管理人

がっかりさせてすみません。これからは余計な説明を省いてアニメの先をネタバレしていくので、今後ともよろしくお願いします。

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名伏

管理人さんありがとございます少し先の話が気になって見させてもらいました。最後の方はネタバレになると思い飛ばしました。これからの内容が気になりますね♪

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管理人

名伏さん、コメントありがとうございます。
記事の内容はアリシゼーション編の半分程度ですが、僕もアニメで見るのが楽しみです♪
今後ともよろしくお願いします。

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もっきー

大体ストーリーが知れました!
ありがとうございます!
ソードゴーレムも期待してます!

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管理人

もっきーさん、コメントありがとうございます。
お役に立ててよかったです。
今後も随時更新していくのでよろしくお願いします。

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管理人

Aliceさん、コメントありがとうございます。
そう言っていただけると励みになります。
マイペースですが、これからも更新していくのでよろしくお願いします。

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ほとり

アドミニストレーターの捻くれたクソな性格が滲みでていますよね…個人的にまだカーディナルには死んで欲しく無かったので結構ショックです…
ネタバレ、とても参考(?)になりました。今後アニメとして放送されるのがとても楽しみです!!!

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管理人

ほとりさん、コメントありがとうございます。
参考になって良かったです。
アドミニストレータの言動はやばいですね。
省略してコレなので、アニメではもっと酷く感じるかも…。
今後ともよろしくお願いします。

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Scarlet

夜空の剣、更新待ってます!
キリトが二刀流使うのは予想ついてたけどまさかユージオの剣、いや赤薔薇の剣を使うとは思いませんでした!自分は赤色が大好きなので最高です笑
ちなみに質問なんですが、ノートパソコン置いてあるってことは菊岡さんはこの事を知ってたのでしょうか?

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管理人

Scarletさん、コメントありがとうございます。
更新しました!

>ノートパソコン置いてあるってことは菊岡さんはこの事を知ってたのでしょうか?
すみません、“この事”とは何の事でしょうか?^^;

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イカメス

読みやすいです!!
小説1冊読まなくても必要な部分だけがまとめられていて!
応援しています!

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管理人

イカメスさん、コメントありがとうございます。
できるだけ分かりやすいように心掛けて書いたので、そう言って頂けると嬉しいです^^
今後ともよろしくお願いします。

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匿名希望

先が気になっていたのでとてもありがたかったです。
次の更新も楽しみにしています^ ^
応援しています!

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管理人

コメントありがとうございます。
そう言って頂けると励みになります^^
今後ともよろしくお願いします。

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ちょっとだけだけど先知れて良かったです!自分で小説読みます(*`・ω・)ゞ
すごい文量ですね!お疲れ様です(*ˊ ˋ*)

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匿名

後半のアニメが観れなくてあらすじを探してたのですが、ここで全部把握できたので助かりました。丁寧で見やすかったです。

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